2011.03.07
金融機関もいろいろです
久しぶりのブログです。
先週の金曜から釧路、札幌に仕事で行っていました。
札幌では、おいしいお鮨とジンギスカンをいただいてきました。
ちなみにそのお鮨屋さんは、有名な男性グループ歌手がくるお店です。
お店の名前はここでは言えませんが。
2年ぶりに行きましたが、最高のお鮨でした。
ところで。
今日は呆れた金融機関の話です。
決してこのような金融機関ばかりではないのですが、中にはこういう金融機関があることも知って欲しいと思います。
仕事の中で経営者の方と金融機関に一緒に出向くことが多くあります。
いつも一緒にいくわけではありませんが、重要な場面などはできるだけ一緒に行くようにしています。
そこで感じることがあります。
金融機関として、「こういう対応をするのはいかがなものか!」ということです。
以前に、大阪の地銀の次長の事をこのブログで書いたことがありました。
いまだにこの次長から、明確なお詫びという言葉はありません。
金融機関に勤めようが、メーカに勤めようが、何らかの取引上に関係する人に対し、暴言を吐いたり、机をたたいたりすること自体すでに問題が有ると思うのです。
それを悪いと思わない体質、ごまかそうとする体質は、残念ながら金融機関は普通の企業より多いように感じます。
先日、愛知県の知多にある信金の支店に行ってきました。
ある会社が1年間の返済猶予をしてもらっており、その継続の要請に同行しました。
その会社は、残念ながら前期に比べて売上が減少し、営業利益段階で赤字という状況です。
当然、この状況では金融機関としては、このままの支援継続に難色を示すのは想像できることです。
しかし、この会社は、売上3億5千万の部門があり、その部門だけで1年間で3600万円もの固定費の削減を一生懸命行ってきているのです。
営業利益が赤字になったのは事実としても、売上減少幅が大きく、固定費の削減が追いつかなかったというのが実状です。
そうなると、次に重要なことは、売上の減少に対して、今後どのような対策を講じて営業利益をプラスに転じるのかということです。
それに対し、会社は削減可能な固定費科目を検討し、削減可能額を算出しました。
それだけでなく、変動費を左右している部署の改革を検討し、変動費の削減が可能であると考え、その改革に手をつけることを決めました。
この部署というのは、この会社の中では「聖域」と言える部署で、かつ利益を生み出すことも無くすことも、いずれにも大きな影響を及ぼす部署です。
このような会社に対し、信金支店長からは、この計画に実現性に疑問がある、よってこれ以上の返済猶予は協力できない、延滞しているお金をすぐに支払って欲しいという回答でした。
会社は、現状では返済できないから、再度、返済猶予の延長を要請して、さらに経営改革の時間を頂こうと考えました。
会社にも問題があります。
最初の1年目での経営改善で返済が開始できるだけの改善ができなかったからです。
この点は、会社も猛省すべきです。
実は、その信金の支店長は、当初社長との間では「計画さえ出してもらえれば、多分、延長できますよ」といったそうです。
にもかからず、いざ、計画を出すと、今からやろうとしている計画に対して「計画の実現性がない」や「こんな計画は机上の空論だ」という事を理由に支援協力をしようとしないのです。
話にさえもなりません。
その支店長は、本部と協議をしたと言うことですが、おそらく会社の側にたって本部を説得するのではなく、金融機関のサラリーマンとしての立場でしか、話をしていないのではないかと思います。
メイン金融機関であるにも関わらず、責任の欠如としかいいようがありません。
支援協力できない理由も今ひとつよくわからない。
もし計画が不十分であれば、「もっとこういう計画をだしてほしい」というのが普通です。
何か別の理由があるとしか思えません。
何があるんでしょうか?
支援することで支店長が困ることがあるんでしょうか?
破産的弁済率と再建を進めたときの弁済率を比べて、その会社がつぶれた方がたくさん回収できるということなのでしょうか?
しかし、その場合であれば、とっくに判断されているはずです。
この1ヵ月で、急に、この会社が悪くなったのではないのですから。
信金は「地域のリレーションバンキング」と言われます。
しかし、今のところ、この信金の対応はリレーションバンキングと言える対応ではありません。
ちなみに、下位行である他の金融機関は協力してくれることになりました。
金融庁は、このような状況に置かれている中小企業が多いことを知っているんでしょうか?
金融庁は、本当の現場の中小企業の声を吸い上げ、このような金融機関に対して指導をすべきだと思います。
中には、非常に素晴らしい銀行マンもいます。
過去、長年にわたって粉飾決算をしていた会社の財務調査報告をするために、私がその会社の社長と一緒に行った金融機関の方です。
粉飾決算の報告ですから、本来であれば憤慨してもしかるべきです。取引がなくなってもやむを得ないような状況です。
当然、その銀行マンの方も(ちなみに先ほどと同じ支店長という立場です)、過去の粉飾について非常に厳しいことは話されましたが、そのあとにこう言いました。
「金融機関の使命は、企業の支援することであり、場合によっては企業が立ち直るチャンスを1度ではなく、2度も3度も与えるべきだと思っています。当然、どの会社でもというわけではありませんが、真摯に経営をしようとしている企業を支援せずに、不動産融資だけを求めたり、預金だけを集めたりするような金融機関であってはいけないと思っています。
過去の粉飾を公表して、真摯に立ち直ろうとする社長に対して、利害関係のあるものが言うことではないですが、粉飾を公表しようとされたそのお気持ちや会社を建て直したいというその気持ちに敬意を表します。粉飾を出すことはそれくらい勇気のいることです。
厳しいことを言いましたが、当行は今まで以上に支援しますので、安心して下さい。」
私の頭の記憶が言葉尻まで正確ではないので、微妙な言葉は違っていますが、大体このような内容のことを言われました。
会社をつぶすのが、金融機関の使命でも役割でもありません。
ダメな会社は放っておいてもつぶれます。
自分にできることは、金融機関としてできることは何かを真剣に考える金融機関であって欲しいと切に思います。
金融機関の、それも支店長の言葉の重みを知って欲しいのです。
言葉一つで経営者を自殺にも追い込むこともあり、また、勇気づけることもあるからです。
昔、RCCでの回収が大きな社会問題になり、たくさんの中小企業経営者が自殺されました。
いまでも同じです。
中小企業経営者は、全てを投げ打って会社を経営しています。
それに、真剣に、真正面から、応える金融機関、金融機関の支店長であって欲しいものです。