椢原のコラム

HOME » 椢原のコラム » 2018年 » 「事業承継のカタチ」

2018.10.11

「事業承継のカタチ」

こんにちは。
KRBコンサルタンツの椢原です。

最近、二つのことがありました。
一つは、以前から知っている社長からのご連絡でした。
その内容は、「息子に事業承継を考えているが、借入もあるので、自分にもしものことがあったとき、事業承継を間違えないよう、金融機関など対応も含めて、何を、どうすればいいのかを息子や社員にアドバイスして欲しい」ということでした。
その社長の思いは、「借入もある。その借入が完済してからであれば、事業承継はそれほど難しいものではない。
しかし、その借入を完済するにはまだまだ時間がかかる。さらに、息子も信頼できる社員も含めて、自分にもしものときに、何をどうすればいいのかについては、誰も分かっていないし、顧問弁護士や顧問税理士では役不足で、会社経営や金融機関への対処をきちんとアドバイスできるとは思えない」というものでした。

もう一つは、数年前にご相談でご面談をした社長からのご連絡です。
「会社を閉めることにしたので相談したい」という内容でした。
この社長は、数年前の私との面談の時から、会社を誰かに継がせるのではなく、事業の将来性と借入を天秤にかけ、その結果、会社をクローズすることが最良だと判断し、そのための準備を自分なりに進めてきたそうです。

最近、事業承継というとM&Aがクローズアップされていますが、M&Aと言ってもどの会社でもできるわけではありません。
やはり、借入があればハードルは高くなります。
時々、生命保険で借入を返済すればいいのではという声も聞きますが、生命保険の解約返戻金や保険金は会社の場合であれば、雑収入になり課税対象です。納税分と借入分まで考えて生命保険に加入していようとすると、保険料はとんでもない金額になってしまいます。

借入のある会社の事業を引き継ぐということは、そう簡単なことではないのです。

不動産を売却して、返済に充てれば借入はゼロになる、そうすれば事業承継できると言う方もいるかもわかりません。
やはり、ここでも不動産売却益に対する課税のことを考えておかなければなりません。
ずっと昔に購入、あるいは相続した担保のない不動産を売却した場合、多額の課税が予想されます。
10億を超えるくらいの無担保不動産で、借入が数億であれば、売却することで返済も納税もできる可能性がありますが、誰もが10億近くの無担保不動産を持っているわけでもありません。

先ほどの2つの社長のお話をご紹介しました。
まだ入社間もない息子さんへの事業承継のことを考えて、10年先の事業承継のために今から行動を始める社長。
数年前から廃業すると決めて、少しでも借入を減らすための取り組みや自宅不動産を守るための動き、預金や株券、社員の退職金のための準備、仕入先などへの支払い条件の見直しなどを進めてきた社長。

私は大事なことは、経営者自身にとっての「事業承継のカタチ」はどういうものが一番いいのかを、経営者自身が考え見つけ、それに向けて準備を進めていくことだと思います。

HOME » 椢原のコラム » 2018年 » 「事業承継のカタチ」