事例詳細|コンサルティング事例

私的整理と事業承継 自宅は競売を回避しリースバック

承継

S社

業種
運送業
売上高
4億
担保不動産
社長自宅、社員寮
借入金融機関数
8行
借入金額
約3億

再生コンサルタントと言う人のアドバイスを受けて、リスケを続けながら何とか資金繰りを回してきたが、売上の減少により経営そのものの継続が困難になり、私どもが関与してコンサルティングを行うことに。
すでにリスケを数年間続けてきており、その間、利益を倍増する取り組みをするどころか、経費の削減、不採算からの撤退、不動産売却による借入圧縮などほとんど何も行わずに足元の資金繰りだけを回すことに注力し、現在に至っていました。

 

私は、コンサルティング開始当初にこの再生コンサルタントがやってきたことを聞いて、月25万円ものコンサル料をもらっているにもかかわらず、この再生コンサルタントがリスケのアドバイス以外何もしてないことに怒りを通り越しあきれてしまいました。

「手形の割引ができるようになった」「売掛債権を担保に資金調達ができた」「リスケの継続ができた」

しかし、事業再生コンサルタントと名乗っている多くコンサルタントは同じようなものだと思います。
これで再生コンサルタントと言えるのでしょうか。
役にも立たないコンサルタントは星の数ほどいます。
あまりにも低レベルすぎて話になりません。
経営者はわらにすがる思いでコンサルタントにアドバイスを求めているのです。
似非コンサルタントが退散するような取り組みを我々はやっていかなければならないと思っています。

 

話しは戻り、社長に今後どうしたいのかをお聞きすると。
・年老いた母もいるので、自宅はこのまま住みたい。
・借入を返すのは無理だと思うので、事業だけでも何とか残したい。

幸い運送の許認可を保有している関係会社があったことから、この会社を事業承継会社として、得意先や従業員を引き継いでもらうことにしました。
ほとんどの得意先が自ら取引契約をその関係会社に変更を進めてくれ、得意先の引き継ぎは速やかに行うことができました。
従業員の中には辞める者もいましたが、多くがそのまま移籍して関係会社で働いてくれることになり、その関係会社の代表者には社長の長男が就き、関係会社を使った事業承継は比較的にスムーズに進んでいったのです。
ガソリンスタンド、傭車先などとの話し合いも容易には進みませんでしたが、最終的に関係会社との取引を開始し、何とか事業を引き継がせることができたのです。

 

同時に、根抵当権を設定されている自宅については、当初リースバックで抵当権者と交渉を進めましたが、金融機関はこちらの提示した金額には応じられないといい、あっという間に競売を申し立てたのです。
競売での入札になるとこちら側で落札できる保証はありません。
長年住み慣れた自宅を離れるということは、とても言葉では言えるような辛さではありません。
社長自身も競売を回避したいとの強い思いから、任意売却を支援するような会社や社団法人や日本再生支援を表する組織など、いかにも公的な組織や大きな組織を匂わすようなところのチラシやDMを見て連絡をしましたが、結局普通の不動産会社が仕事を獲得するためにそのような大げさな名称をつけ依頼を集めていることがわかり、それでも競売を回避するだけの金額で買ってくれるのかと話を進めると、「やって見ないとわからない」「うちに専任契約をもらわないと」など、曖昧な返事ばかりだったそうです。

その後、固定資産税評価額、路線価、上場不動産会社の査定額を基に、抵当権者の抵当権抹消額を算定しました。
残念ながら、リースバック協力者だけの金額ではその額まで届かないことから、社長自身にいくらかの現金の調達を依頼し、この二つの額の足し算された額で交渉を進めるべく、上場不動産会社に不動産仲介と同時に抹消交渉を依頼しました。

交渉の末、金融機関から競売を取り下げ任意売却でOKとの返事があり、その後無事に自宅は任意売却をし、リースバックで守ることができたのです。
抵当権抹消予想額:リースバック協力者の買い取り額+社長自身の調達額不動産をリースバックや身内で買い取るという際に大事なことは、
・金融機関は損得だけではなく、モラルハザードなどの意思決定に大きく影響を及ぼすため、抵当権者である金融機関の考え方や方針を論理的に予測すること
・抵当権抹消交渉を適切に進めることができる力を持った不動産会社や弁護士に依頼する
ということです。

 

事業は関係会社に。
自宅不動産は、リースバックで。

元の会社と連帯保証人は、破産ではなく弁護士による私的整理手続きでソフトランディング。
当初のスキーム通り、整理し、守り、承継できたのです。