経営戦略

経営戦略というと。何かつかみどころのない、とても難しいように思うかも知れませんが、実はとても簡単でわかりやすいものです。

例を挙げてご説明しましょう。

あるお菓子メーカーがあり、この会社は全国に販路を持っています。
その販路構造は、各地の問屋を通じて、全国の小売に販売し、小売は消費者に販売するというものでした。

このお菓子メーカーは、商品開発が最重要課題であると考え、消費者の嗜好調査、市場で売れ筋商品の調査などを行い、商品開発にコストと人員を投入し、年に数種類以上の新商品を市場に投入してきました。
この甲斐あって、売上は年々増加し、利益も増え、会社規模も大きくなっていきました。

この間、世の中のライフスタイルの変化、購買方法なども変化してきます。 ライフスタイルの変化、購買の変化とは、
 ・コンピューターの普及
 ・パソコンとして一人一台時代
 ・携帯電話が一人一台に普及
 ・その携帯電話が、スマートフォンへと進化
 ・コンビニエンスストアの台頭
 ・通販サイトでの日常の買い物
 ・カードや電子マネー決済の広がり
などのことです。

このような時代の変化に伴い、問屋を通じて小売に販売するという商慣習も年々薄まり、あるときから競合メーカーが直接小売に強力に営業をかけ始めてきます。

このような状況を知ったこのお菓子メーカーは、問屋に対し、自社の商品が並んでいるお店の棚が競合に取られないようにするために、もっと営業をかけて欲しいと要求をします。
問屋は、このお菓子メーカー以外の商品も販売しており、問屋としては売上を確保するためには、どのメーカーのどの商品を売っても構わないというのが本音でした。

多くの問屋は、今までの付き合いから表向きは「頑張りますよ」と言ってくれましたが、次々に小売の棚が競合に取られ、このお菓子メーカーの売上は前年比25%も落ち込んでしまったのです。
営業利益も経常利益も、ともに赤字を計上してしまいます。

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この背景には、問屋よりも小売が強くなっていったという環境の変化もあります。
物流網が発達し、商品が日本全国ほぼどこでも1日あれば届くようになり、問屋としての強みもなくなっていたのです。
また、大手量販店やネット通販に代表される、すさまじい購買力の小売業態の会社が次々と現れ、問屋さらに弱体化させていったのです。

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「これは大変なことになった!」とお菓子メーカーは営業の強化を打ち出し、問屋を飛び越え、直接小売などに営業をかける動きを始めましたが、問屋からの注文を受けるだけに過ぎなかったカタチだけの営業部隊の動きは鈍く、提案営業も全くできない状況でした。

その上、営業部隊の説明力、交渉力の低さもあり、問屋に対して十分な根回し、説明が行われないにもかかわらず、直接小売に営業を行ったことで、多くの問屋から信頼を損ねてしまい、取引を縮小される事態になったのです。

 

 

商品力さえあれば、売上は伸びるとの戦略の基、商品開発に経営資源を注ぎこんできました。
にもかかわらず、消費者は、あるメーカーの商品がお店からなくなったとしてもそれで生活に困ることはなく、数多くの別のお菓子がお店に並んでおり、別のメーカーの似たような商品もあることから、お店に対し、「あの商品を置いて欲しい」というような声が起きることもなかったのです。

結果、このお菓子メーカーは、売上の減少による限界利益の大幅減に加え、元々多かった人件費を含む商品開発コストなどにより、4期連続大幅赤字を計上し、この間、金融機関からの調達もできなくなり、長年にわたって積んできた内部留保もこの4年間で全て使い果たし、さらに債務超過にまで陥ってしまいました。

このときにある事業再生コンサルタント会社からの指導を受け、コストダウンを進めることになり商品開発部門を大幅に縮小することになります。
さらには現在の営業部隊も力不足ということから、営業マンの入れ替えを行います。
そのうえ、人員削減が必要であること。
製造原価を下げ、在庫も削減すれば、もっと粗利が稼ぐことができる。
と言われ、全てを実行に移していきます。

そうして、このような再建策に疑心暗鬼になった社員は、能力のある社員が徐々に退職していきました。

在庫を削減するということは、生産数を減らすことになります。
生産数を減らすと、管理会計上の原価計算では、原価が増加することになります。

 「在庫を減らす」
 「製造原価を下げる」

2年後、この両方は同時にはできないことを知った経営者は、やっとこのコンサルタントの指導が間違っていることに気づき、契約を解除しました。
この間、さらに赤字は続き、このコンサルタントの指導の下、リスケを金融機関に要請していました。
結局、2年間かけてこのコンサルタントがやったことは、リスケだけで、それも出口を示すことができない「とりあえずリスケ」というお粗末な内容でした。

それから3年後、この会社は、原価計算に振り回され、何をすればいいのかを教えてくれないような管理会計を止め、限界利益管理に集中します。
そして、再度、商品開発に力を入れ、独自商品を生み出せるようになり、それによって小売業態との取引を開拓し、問屋との関係も正常化させ、限界利益を伸ばすための取り組みが次々に社内で実行され、やっと営業黒字に戻すことができたのです。

 

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さて、このお菓子メーカーの問題点は何だったのでしょうか。

一つは、営業部隊が受注業務部隊となっており、本来、営業に求められる活動が全くできない状況にあったにもかかわらず、そのことを放置し、何もしてこなかったことです。

問屋が思ったほど動いてくれなかったことで、慌てて力の弱い営業部隊が小売に営業を行い、行ったことで、問屋から取引を縮小するされてしまいます。 消費者のニーズをきちんと踏まえた上で、商品開発をやっていることを小売に伝えれば状況は変わっていたかも知れません。
自社の強みであった商品開発力を活かした営業をするのではなく、自社本位に売り込むことを行ってしまったのです。

もう一つあります。

経費削減という間違った大義名分のもと、せっかくの強みであった商品開発力を自ら弱めてしまったということです。
唯一とも言える強みを失った会社にはもう売るものはなくなってしまっていました。
経費削減は、再建策でも黒字化のための方策でもありません。

会社の体力を弱めるだけの方策です。

原価を下げることと在庫を減らすという、この矛盾した指導に気がつくのも遅すぎました。

経営戦略というのは、このお菓子メーカーの例でいうと、

・営業部隊の強化(御用聞き受注型営業から提案営業へ)
・小売業態への直接営業の取り組み
・商品開発力の強化(独自商品の企画開発)

のように、数年間かかって手に入れ、改善していく取り組みのことを言います。

そのためには、会社の強みと弱みを正確に把握し、さらに自社のおかれている経営環境において、会社の存続と成長のためには何が必要なのかを検討し、見出さなければなりません。

それには、目先の利益を追いかけてはいけないのです。

 

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