限界利益だけを管理しろ

利益を増やすためにどうすればいいかといえば、(ここでいう利益は、営業利益や経常利益のことです)

 ①売上を伸ばす
 ②原価を下げる
 ③販売管理費を削減する

の3つがよく言われます。

しかし、売上を伸ばしても利益が出るとは限りません。
売上と利益は全く別のものです。
その理由はこちら

売上を伸ばしても利益は増えない

全部原価は経営には使えない

では、原価を下げれば利益は増えるのでしょうか。

まず、原価といっても業種や会社によって、その内容が違います。
メーカーや運送業などでは、原価に間接費が含まれています。
この間接費には減価償却費や棚卸しが含まれています。
減価償却は税法で償却率や額が変わります。
棚卸しは、極端な言い方ですが、経営者のさじ加減で増減することも可能です。

このようなことに影響される「原価」では正しい利益を見ることができません。
そして、利益が正しいかどうかもわからないようでは原価を削減する価値もありません。

この原価のことを「全部原価」「フルコスト」といいます。
全部原価は税この全部原価の考え方の資料を使って原価を下げるといっても、つかみどころのない原価であり、さらにさじ加減や償却などで利益が変わる以上、意志決定や判断を行う際には使えないのです。

この全部原価に対し、間接費を含めない原価のことを「直接原価」「ダイレクトコスト」といいます。

直接原価は経営に使えるか

「全部原価」が利益を生み出すための経営改善などの意志決定に使えないとなると、「直接原価」は使えるのでしょうか。
直接原価は間接費を配賦していませんから、売上を上げるために必要な直接的な原価のみです。
材料費、外注費、製造消耗品、業種や会社によっては包装資材や運賃、直接的な労務費などです。

しかし、この直接原価で利益を増やす方法はと考えたときには、やはり全部原価と同じでその方法がこれでは見つけられません。
固定的費用が含まれていることで、「利益を増やすための4つの損益分岐点」など、利益を増やすための手法が使えないのです。

利益を増やす4つの損益分岐点についてはこちら

全部原価でも直接原価でもダメ。
では、どう考えればいいのでしょうか。 

変動費で限界利益を正しく掴む

原価の中で、販売数量(=売上数量)に比例する費用のことをいいます。
変動費のことを「売上に比例する費用」と、いろいろな会計本やネットでも見かけますが、利益を増やすための方法を見つけたいのであれば、変動費は数量に比例すると考えなければ意味がありません。

これを間違えるとどうなるか。

ある会社の実例を挙げて説明したいと思います。
次の表は、あるメーカーの損益の推移を表したものです。

順調に利益を生んでいた会社に競合が攻勢をかけてきたことで販売数量が減少し、単月赤字になってしまいました。
そこで、この会社はある事業再生コンサルタントに相談し、コンサルティングを依頼しました。

そのコンサルタントは、
「売上が少しばかり減少しても、その分変動費も売上に応じて減少しますから、販売数量を今までと同じだけ確保し、同時に人件費などの固定費も削減すれば黒字に戻すことができます」
という指導を行います。
経営者は、「販売単価を下げても利益を確保できるのであればやってみよう」と考え取り組みます。また、「販売単価を下げることで数量も増えるかも。そうなればさらに利益は増えるぞ」と考えたのです。

ところが、競合の攻勢は激しく、販売枚数は今までと同じだけを維持するのが精一杯でした。しかし、社員みんなの頑張りもあり、当初の計画はほぼ達成し、黒字になることを期待してそのシーズンを終わったのです。

そうして、そのシーズンの集計をみて経営者は愕然とします。
過去に経験したことのない大幅赤字になってしまったのです。

すぐにコンサルタントと打ち合わせをし、その際、そのコンサルタントからこう言われました。
「単価も数量も固定費もほぼ計画通りでした。しかし、赤字になったのは変動費を下げきれなかったことが原因です。もっと変動費を下げる努力をしてください」
この赤字で会社は資金繰りが苦しくなり、返済猶予を要請する事態にまでなってしまい、会社の定期預金は全て取り崩し、経営者個人が所有していた有価証券や不動産までも売却して会社につぎ込むことになってしまったのです。

経営者は、ここでやっと気がつきました。
「このコンサルタントの言っていることは間違っている」

その後、この経営者は新たな改善策を打ち出し、その結果、利益を黒字に戻すことに成功します。
当然、先ほどのコンサルタントはすぐに契約解除されたのは言うまでもありません。

そもそも、なぜ、この会社は大きな赤字になってしまったのでしょうか。

先ほどのミスを犯したコンサルタントは、売上は変動費に比例すると思っていたのです。
ですから、売上が下がれば、その分変動費が下がると考えてました。
しかし、変動費は売上に比例しなかったのです。
売上が下がっても販売数量が変わらなかったことから変動費は変わらず、結果、限界利益を大幅に減少させることになり、大きな赤字を計上することになったのです。

販売管理費を削減すれば利益は生まれるのか

販売管理費を削減すれば利益は増えることもあると思います。
しかし、これは利益を増やすための主な方法にはなり得ません。

JALが再建を進めていく過程で多くの社員を解雇したと言われています。
しかし、JALが再建を果たし、世界の航空会社でもトップレベルともいえる利益を生み出したのは経費削減ではなく、フィロソフィーということでJALで働く社員の価値観を明確にし、経営の方向性を共有したことです。さらに部門別損益管理(JALの部門別損益管理はアメーバと呼びます)を導入し、日々の各部門の利益が、社員一人一人の頑張りによって反映されていることを見えるようにしたことによります。
決して、経費削減だけで黒字になり、成長を加速していったわけではありません。

長くなりましたが、経費削減で黒字になるというのは、よほど無駄遣いの多い会社か経費を使いすぎている会社です。
普通の会社では、経費削減の前にもっとやらなければならないことがあるはずです。

限界利益を増やすことが利益を増やすこと

営業利益や経常利益、当期利益を黒字にするには、固定費よりも限界利益が多くなればいいのです。

  限界利益 > 固定費

こう言ってもなかなかピンとこないかも知れません。

売上を伸ばさないと限界利益も増えないだろうと思うかも知れません。
冒頭でも言いましたが、売上を伸ばしても利益が増えるとは限りません。

その理由はこちら

限界利益を増やして大きく会社を成長させた実例の会社を紹介している書籍はこちら

会社が利益を増やすために管理すべき限界利益なのです。

限界利益を増やす取り組みをすると同時に固定費の削減を行うのであればとても意味があります。

固定費の削減は科目別に行おうとしてもなかなかできないものです。
実際に販売管理費の科目を見て、どの科目をどれだけ減らすかを考え、決めることができる経営者は数少ないと思います。
固定費を削減するというのは、後ろ向きの取り組みで誰もが気乗りしないことです。
過去、私たちも経営改善を進める際にこの難しさを経験してきました。

固定費の削減をできるだけ前向きに効果的に取り組む方法はないのでしょうか。

実は、会社を成長させながら固定費を削減する方法があります。

この答えも先ほどの限界利益を増やして億を超える余剰金を生んだ実例の会社が教えてくれています。

固定費を削減する方法が書かれている書籍はこちら

ここでは、限界利益を増やす二つの方法をお伝えしたいと思います。
経営者一人でやっている会社であれば別ですが、社員を雇用して事業を行っている会社で限界利益を増やすには、

その社員を巻き込んで限界利益を増やすにはどうすればいいかをみんなで考え、実行する

ことです。

「その方法を知りたいんだよ」と言われるかも知れませんが、その具体的な方法のヒントは、 「売上を伸ばしても利益は増えない」を参考にしてください。

この具体策は会社がどのようにして売上を上げているのかによって違います。
売上の構成要素である「単価」「数量」「頻度」の状況によって違うと言うことです。
会社の製品や商品別、得意先別にこの「単価」「数量」「頻度」をはじき出し、製品に1個あたり単価、1個あたり変動費、1個あたり限界利益という資料を基に、関係する社員と「1個あたり限界利益」を増やす方法を議論し、検討し、実践することです。

もう一つは、

経営者自身が経営能力、経営知識を伸ばすこと

です。

経営者の能力、知識以上に利益は出ないからです。

能力と知識が利益を増やすことと別のことだと多くの人が思っているようですが、それは間違いです。

先ほどの「変動費は数量に比例する」ということ一つをとっても、知らない人は間違った意思決定をしてしまいます。

売上=単価×数量×頻度

ということを知らないと、売上さえ伸ばせば利益は出るものと思い込んでいるかも知れません。
同じ売上を伸ばすにしても、単価を上げて伸ばす場合と、数量を上げて伸ばす場合、頻度で伸ばす場合、全て生み出される利益は違います。

利益を増やすために役に立つ知識はまだまだあります。
自分の会社にとって、どの知識や手法が役に立つのかを取捨選択し、活用するには、経営者自らが知識を学び、手法を学び、自社で実践するということが不可欠なのです。

私どもでは、経営者にとって必要な知識を学び、手法を学び、実践していただくためのコンサルティングをご用意しています。
経営者のための知識を学び、手法を学ぶ方法はこちら

黒字メソッド実践会の詳細についてはこちら

ここでは限界利益を増やすための考え方をご紹介しましたが、個別に自社ではどうすればいいかを知りたい方は、是非、個別相談をご活用ください。
なお、個別相談の枠には限りがありますので、お早めに申し込みください。