代表挨拶

私は大学卒業後、キーエンスを経て経営コンサルタントの世界に入りました。
そのときに、今は亡き父に言われたのが、「おまえは詐欺師になるのか」の言葉でした。

教育者だった父からすれば、キーエンスという当時経常利益率41%を超える日本一の優良企業を辞めて、経営コンサルタントという、当時、良いイメージのない、何をしているのかよく分からないような職業に転職をしたことに対し、口先だけの仕事は信用できないという気持ちと本当にそんな仕事で人並みに生活していけるのかという心配からの言葉だったのだと思います。

その後、2003年 私の営業コンサルティングの指導先が民事再生を申し立て、弁護士や税理士が立てた再生計画に対しメインバンクが同意せず破産に移行し、結果、創業者一族以外の元会社関係者に非常に安い金額で売却されるという不可解なことが起きました。

あとでわかったのは、メインバンクと弁護士、経営陣に反発していた親族の利害が一致し、民事再生ではなく破産させ、安く会社を買い取るということでした。

これら関係者は、皆、買い取ったあとの会社役員などの重責に就き、創業家が全ての責任を取らされました。
創業経営者は、自宅を含む全ての不動産、金融資産をなくし、息子さんである専務も個人破産し全ての財産をなくしました。さらに、子供のために離婚せざるを得なくなるという悲惨壮絶な状況になってしまったのです。

知らない人が聞けば、「会社経営をしていた人が会社をつぶしたときは、責任を取って、全ての財産をなくしても当たり前でしょう」と思われるかも分かりません。

その通りです。
中小企業経営者は、何かあれば全ての責任を取らなければなりません。

しかし、これは、事実上の乗っ取りとも言える出来事だったのです。
創業経営者抜きで全てのことが決められ、レールが敷かれ、そのレールの上を事が進んでいったのです。

この破産申立前に、創業経営者とその親族内で会社の株式の所有を含む、実質経営権をめぐって諍いがあり、すでにこの時点から創業家に対する恨みと妬みのようなものが親族に生まれ、それにメインバンクと弁護士の利害が一致し、創業家抜きの再建の絵が書かれていました。

実際には、創業家である専務が再建後の代表者に就いて再建を進めるのが最も妥当であったにもかかわらず、幹部社員も首を切られることを恐れ、主導した親族と弁護士のいいなりになってしまったのです。
また、メインバンクも、民事再生の際の再建計画に書かれていた弁済計画を大幅に下回る弁済額であったにもかかわらず、破産後の事業譲渡による弁済を承認するという、到底、経済合理性からは考えられない判断をしたのです。
このことについては、創業家が必死で再建に取り組んでいた事実を残すために、別の機会に詳しく記したいと思います。

このときに、私が感じたのは、
「銀行だけでなく、弁護士や税理士でさえも、結局は自分の利益のことしか考えず、会社をつぶした人だけが悪者で放置されるのか」
ということでした。
私は、経営者が責任をとっても、再起できる状況を就くってあげることが専門家として大事だと思うのです。

このときの専門家である士業であっても信用できないという不信感。
そして、私自身、知識も経験もなく、何もできず、悔しくて情けない、本当に歯がゆい思いでした。

コンサルタントに転職したときに父に言われた「おまえは詐欺師になるのか」の言葉。
企業ドクターなどと言われる経営コンサルタントでありながら、会社も経営者も真に助けることができない力のなさ。

このときに、私は、経営コンサルタントの成功要因である「売上が上がる会社、伸びる会社を指導する。そうすれば契約は切られることなく、さらに業績責任も問われない」ということを捨てて、全く正反対の売上が低迷している会社、潰れそうな会社、赤字で資金繰りに窮している会社の手助けをし、役に立てるコンサルタントになる、そのためにこれからの時間を使うと決めたのです。

それからは必死で、法律、財務会計、経営、金融、不動産の専門知識を学び、同時に何も知らない中で再建再生の第一線で指導を行い、会社の建て直しや再生に取り組んできました。

今では、再建してきた会社の数は340社を超え、指導件数は990社超と、一人の経営コンサルタントとしては、日本国内でもそれなりの実績を残すことができました。

2010年、京セラ名誉会長である稲盛和夫氏の私塾である盛和塾に顧問税理士の紹介で入塾させていただきました。入塾直後に稲盛塾長から教えていただいたのは、「動機善なりや、私心なかりしか」というとても重い言葉でした。
コンサルタントに転職したときの父の言葉以来の目の覚める言葉でした。

「おまえは経営コンサルタントとして、利他の心で仕事をしているか!」
「私心で判断し、行動していないか!」

コンサルタントとして大事なことは、ノウハウや手法ではなく、目に見えない商品を提供し、その商品によってクライアント企業だけでなく、そこで働く人、そしてその家族の生活にまでも影響を及ぼすことを自覚し、コンサルタントとしての誇りと利他の心をもって仕事をすることだと言われたように感じました。

私はこれからも、父の言葉を、そして再建再生を手がけることを決意させてくれた出来事、そして稲盛塾長の「動機善なりや、私心なかりしか」を心に刻み、KRBコンサンルタンツのクレドである「安心と成長」を、経営者とその会社で働く全ての人にご提供することに全力で努力を続けていきたいと思っています。

KRBコンサルタンツ株式会社 代表取締役社長